キーワードプランナーの予測が当たらない理由
入札単価レンジの中央値はクリック単価ではありません。プランナーが実際に返している数値の意味と、根拠として使える見込みの立て方を解説します。
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この記事の要点
- 01入札単価レンジは「入札額」の幅であり、「実際に支払ったクリック単価」の幅ではありません。中央値をCPCとして使うと、クリック数を多く、費用を少なく見積もることになります。
- 02レンジの列を読むのではなく、実際に使う予定の日予算を入れて予測ツールを動かすと、現実に近い数値が得られます。
- 03コンバージョン計測が正しく動いていない状態で立てた見込みは、体裁の整った推測にすぎません。
成果の出なかった検索広告のテストを振り返ると、多くが同じ場面にたどり着きます。 キーワードプランナーを開き、入札単価レンジが「500円〜1,500円」と表示されているのを見て、 「CPC 1,000円」と表計算ソフトに書き込み、その上に見込みを組み立てた瞬間です。
この数値は、その時点ですでに誤っています。
レンジが示しているもの
表示されているのは「ページ上部に掲載された広告の入札単価(低額帯・高額帯)」です。 これは上位に表示されるために広告主が入札した金額であり、実際に支払った クリック単価ではありません。
両者がずれる理由は複数あります。
- オークションの仕組み上、上限入札額より安く落札されるのが通常です
- 品質スコアによって、入札額と関係なく実際の単価が変動します
- 異なるランディングページや配信実績を持つ広告主が合算されています
- 季節変動が単一の数値に平均化されています
つまり中央値は、何かの中心的な推定値ではありません。もともと費用の分布ですらない 2つの数値の、真ん中というだけです。
誤差が積み上がる仕組み
CPCは単独では使われません。掛け算の起点になります。
クリック数 = 予算 ÷ CPC
問い合わせ = クリック数 × CVR
成約数 = 問い合わせ × 成約率
売上 = 成約数 × 単価
CPCを低く見積もればクリック数が多く出ます。それが問い合わせ、成約、売上へと流れて いきます。入口の40%の誤差は、出口でも40%の誤差になります。そして振り返りの場で 記憶されているのは、たいてい出口の数値です。
楽観的な前提は、ファネルの中で必ず掛け算になります。だからこそ、賢い仮定より 保守的な仮定のほうが重要です。
現実的な進め方
レンジの列ではなく、予測ツールを使う。 キーワードを入力し、実際に投下する予定の 日予算を設定して、返ってきたCPCを読みます。予算が配信をどう制約するかが反映される ため、レンジよりも実態に近づきます。
上限側で検算する。 予測ツールとレンジ中央値が食い違う場合は、予測ツールを信頼して ください。どちらも使えない場合は上限側を採用し、結果は「上限」として扱います。
目標ではなく下限を設計する。 悲観側で成立する計画を立てます。保守的な水準で成立 するテストは拡大できますが、楽観側でしか成立しないテストは2か月目に失敗と判断されます。
| 項目 | ありがちな方法 | 推奨する方法 |
|---|---|---|
| CPC | レンジの中央値 | 実予算で予測ツールを実行 |
| CVR | 業界平均 | その事業者の実績値 |
| 成約率 | 仮置き | ヒアリングで確認 |
| 単価 | 表示価格 | 値引き後の平均実績 |
前提として必要なこと
ここまでの内容は、コンバージョン計測が正しく動いていることが前提です。そして実際には、 動いていないことがよくあります。
コンバージョンが発火していない、意図と違う行動を計測している、タグが二重に入っていて 重複計上されている。いずれの場合も、クリックより先の数値はすべて実態のない値になります。
見込みを立てる前に、計測層を確認してください。地味な作業で、半日もあれば終わります。 そして、予測と「体裁の整った推測」を分けるのは、その半日です。
よくある質問
ではキーワードプランナーは使えないのですか?
そんなことはありません。キーワードを洗い出し、需要の相対的な大きさを比較する用途では有効です。不向きなのは、絶対値としての費用予測です。
最初の試算では、どのCPCを使えばよいですか?
実際に投下する予定の日予算で予測ツールを動かし、そこで返ってきたCPCを使ってください。他に根拠がない場合は、レンジの中央値ではなく上限側を採用します。