広告の前に確認すべき、計測の30分チェック
多くの広告アカウントは、そもそも正しくない数値をもとに最適化されています。入札を触る前に確認すべき手順と、実際によく見つかる3つの不具合を解説します。
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この記事の要点
- 01タグが「設置されている」ことと「動作している」ことは別です。スクリプトの読み込みだけでは、データは1件も溜まりません。
- 02タグの読み込みを遅延させすぎると、3秒以内に離脱した訪問者が記録されません。広告経由の流入では、これが無視できない割合を占めます。
- 03計測を直してから最適化します。誤ったコンバージョンで学習した自動入札は、時間をかけて確実に悪化します。
入札や予算、ターゲティングを調整する前に、必ず同じ確認作業を行っています。所要時間は 30分ほどですが、3件に1件くらいの割合で、その後の進め方そのものが変わります。
前提はシンプルです。誤った計測にもとづく最適化は、何もしないより悪い結果になります。 自動入札は、こちらが報告したコンバージョンを正解として学習します。誤った値を渡せば、 誤った相手に確信を持って予算を配分していきます。
手順1:タグが実行されているか
「ソースに入っているか」ではなく、実際に動いているかを見ます。
- 広告ブロッカーを無効にした状態でサイトを開く
- 開発者ツールのネットワークタブを開く
- 各媒体のドメインで絞り込む
- スーパーリロードしてリクエストを確認する
数秒待ってもリクエストが出なければ、タグは動いていません。管理画面上は「有効」と 表示されているケースも多いため、ここで初めて気づくことがよくあります。
もっとも多い不具合
スクリプトは読み込まれているが、初期化されていないパターンです。Metaピクセルで言えば、
fbevents.js はネットワークタブに出ているのに fbq('init', …) が呼ばれていない状態を
指します。管理画面ではピクセルが検出済みと表示され、データは1件も溜まっていません。
LinkedInの場合は、パートナーIDをグローバル変数に代入しているものの、タグが実際に参照 している配列に追加していない、という形で現れます。
どちらもコードを眺めただけでは正しく見えます。そして、どちらも動きません。
手順2:いつ発火しているか
表示速度を重視した実装では、計測タグをアイドル時間まで遅延させることがあります。意図は 妥当ですが、遅らせすぎるとデータが失われます。
| 発火タイミング | 遅延 | データへの影響 |
|---|---|---|
| head内で即時 | なし | 欠損なし・速度は最も不利 |
| DOMContentLoaded | ミリ秒 | ほぼ欠損なし |
| window.load | 数百ミリ秒 | 軽微な欠損 |
| requestIdleCallback | 最大2秒程度 | 早い離脱が記録されない |
最後の方式では、3秒以内に離脱した訪問者が記録されません。広告経由の流入では例外的な ケースではなく、費用を払って獲得したセッションの相当な割合にあたります。しかも残った データは、関与の深いユーザーに偏ります。
手順3:正しい行動を数えているか
順番に3つ確認します。
- その行動は本当に費用を払う価値があるか。 フォーム送信は相談予約ではありません。 送信の3割が連絡不通になるなら、フォーム送信への最適化は不通の獲得に最適化することを 意味します。
- 重複していないか。 同じイベントを2つのタグが送っていれば、コンバージョン数は 2倍、CPAは半分に見えます。
- 実態と一致するか。 管理画面のコンバージョン数と、同じ期間にCRMへ入った問い合わせ 件数を突き合わせます。完全一致はしませんが、3倍ずれていてよい理由はありません。
手順4:同意管理
EEAや英国からの流入が一定量ある場合は、同意モードv2が4つのシグナルすべてで実装されて いるかを確認します。
新しく追加された2つが見落とされがちです。ad_user_data が許可されていない場合、
Googleは拡張コンバージョンのデータを警告なく破棄します。 エラーは表示されず、
コンバージョン数が静かに減るだけなので、広告の不調と区別がつきません。
// gtag.jsの読み込み前に実行する必要があります。
// タグは発火時点の同意状態を参照するため、
// 後から設定した初期値は無視されます。
gtag('consent', 'default', { /* ... */ });
遅延スクリプトの内部で初期値を設定してしまう実装は、この失敗の典型例です。コードは 存在していて、順序だけが誤っているため、結果として機能していません。
見つかった後にすること
まず計測を直し、そのあと待ちます。2〜4週間ほど正しいデータを溜めてから、成果の判断や 構成の変更を行ってください。自動入札には再学習の時間が必要で、修正後のアカウントを 壊れていた頃の履歴と比べると、良い方にも悪い方にも判断を誤ります。
立ち上がりは遅く見えます。それでも、実態のない数値をもとにもう一四半期を費やすより、 確実に速い方法です。
よくある質問
タグが本当に動いているかを確認する方法は?
広告ブロッカーを無効にした状態でサイトを開き、開発者ツールのネットワークタブで各媒体のドメインを絞り込みます。数秒待ってもリクエストが表示されなければ、管理画面の表示に関わらずタグは動作していません。
管理画面では「有効」と表示されているのですが?
多くの管理画面は「最後に信号を受け取った時刻」を表示しているため、実際には停止していても有効と見えることがあります。ページのソースにタグがあるかどうかだけで判定している場合もあります。